一人のがん患者が独力で、国(厚生労働省)と闘って勝訴した「混合診療訴訟」の判決から一ヶ月半が過ぎた。厚生労働省はその東京地裁の判決を受け入れず控訴して徹底的に争う姿勢である。
その混合診療問題に関して、今日の朝日新聞が「ざっくばらん」で規制改革会議委員の松井証券社長・松井道夫氏の話を掲載している。その論旨は政府の規制改革会議では混合診療の全面解禁を主張しているのに、何故厚生労働省と対立するのかという事である。混合診療禁止の厚生省の言い分は、1・保険外治療が広がれば、金持ち優遇になる。2・保険外の診療は安全確保などの面で問題がある。と言うことらしい。その点に関して、松井道夫氏は「混合診療が禁止されていて本当に困るのは経済的に余裕の無い人たちだ。『弱者は保険が認められるまでは我慢しろ』というような、乱暴な論理だ」「安全性の問題も、保険の対象であろうがなかろうが確保しなければならない。安全性に問題のある治療を取り締まる事こそ厚生労働省の任務である。」と述べている。
どちらの言い分に利があるかは明らかであり、即刻厚生労働省は控訴を取り下げるべきである。この問題に限らず「薬害C型肝炎訴訟」での対応も全てにおいて、国民、患者側の視点が見事に欠落しているのである。
1 件のコメント:
本当に必要なのは、有効な治療の保険適応であり、厚労省が非難されるべきは国際標準治療が保険適応でない日本の現状である。
”混合診療禁止で本当に困るのは経済的に余裕がない人たち”と主張する松井氏だが、真に弱者の味方でありたいなら、何故様々な治療が保険診療になっていないのか?に関する彼の意見を語って頂きたかった。
公立学校と塾を引き合いに出して混合診療を説明しているのも彼の立場からするとつらいものがあるだろう。公立学校、国立大学を統廃合、淘汰していこうとしているのは彼の所属する経済界なのだから。
真に弱者の味方であるなら、弱者の経済的負担をいかに軽くするか、つまりいかに富裕層の負担を増やすかを議論すべきであろう。
先だっての東京地裁での混合診療禁止を違法とした判決だがあくまでも地裁であって、控訴中。確定したものではない。しかもあくまでも、只一例の判決であり、医学的に言えば単一の症例報告に過ぎない。単一の症例報告を一般化することの愚かさ、危険性を考えるべきであろう。
コメントを投稿