09年春から始める裁判員制度に向けて、全国の8地裁で同じ内容の事件を扱った模擬裁判が行われた。判決は懲役14年から無罪まで大きく分かれた結果となった。
日本弁護士連合会裁判員制度実地本部の弁護士は「同じ条件で量刑にあまりに大きな差が出るのは、裁判の公平性を保つ上で問題だ」と疑問を投げかけていると今日の朝日新聞朝刊が報じている。
しかし、同じ事件を扱う地裁と高裁や最高裁で専門の裁判官が裁いても全く違った判決が出る事は往々にしてある事である。今回の模擬裁判の判決結果を以って素人が参加する裁判員制度を疑問視する事の方が寧ろ問題なのではなかろうか。
上記のようなコメントをした弁護士は、無罪を主張して戦った裁判で主張が認められず敗れた場合に上告は一切行わないのだろうか。同じ条件なら判決が覆る事は無いと考えているなら上告は無駄以外の何物でもない。このことからもこのコメントをした弁護士の論理矛盾を感じずにはいられない。
今回の模擬裁判の条件は「犯行時は心神耗弱だった」とした捜査段階の簡易鑑定書や、心神喪失を認めた起訴後の精神鑑定書が提出されたという極めて判断の難しい問題を取り上げている。
そもそも、精神鑑定は鑑定する鑑定医によって様々な結果が往々にしてでるようであり、且つ精神耗弱と精神喪失では量刑に雲泥の差があることの方が問題にすべき事である。裁判員の中には容疑者の責任能力を「容疑者の行動は常識を超す」として限定的に解釈した人もいたようである。犯罪容疑者の行動の大半は常識を超えたものと考える私には全く理解出来ない解釈だ。
常識を超えた行動で減刑されたり、無罪になったりするなら、現在起きている事件の容疑者の大半は無罪になってもおかしくない。
精神耗弱や精神喪失を理由にした量刑の軽重は一切無くすべきである。その上でこれらの病を患っている犯罪者には治療のプログラムを行える刑務所を作って其処に収容すべきである。即ち刑の服し方に違いを設ける方が合理的であろう。
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